全国溶接コンクール 上位の作品
溶接の世界には、全国溶接コンクールという溶接人にとって憧れの舞台があります。
誰でも参加できる訳ではない、県大会を勝ち抜いた猛者だけがその舞台に立つ資格をあたえられるのです。
さて、君は思う。
そんなコンクールの上位者はどんなに上手く溶接するんだ?と
ビードを見る限り全て半自動溶接かな?TIGらしき感じに見える所もあるけど・・それしても上手い。
ウィービングの安定感が素晴らしいです。脚長も見事に揃っています。
ちなみにこの製作物は、この置き方のまま全て溶接されています。つまり下向き、立て向き、横向き、上向きと、全姿勢で溶接しているんですね。凄い! 前に突き出たパイプのビードに注目して下さい。溶接は、しっかりと真下からスタートして右回りで真上まで。また下からスタートして左回りで真上まで。両側から登ってきたビードがちょうど真上でクレーターさせてるのが良く分かります。
そして横から見たのがこれだ
立て向き溶接上手いね~。斜めにも登ってます!
下向きすみ肉溶接の仕上げは2パスになっていますね。脚長の大きい下向き溶接で1パスのすみ肉溶接の場合、ビード上端がアンダーカットになってしまい掘れたようにえぐられてしまいます。そこで、アンダーカット部分をもう一度細く溶接する事で美しい外観と強度が得られるのです。言葉にすると簡単だけど難しいんだこれがw
この作品は圧力容器だと思います。とすれば裏波溶接が必要なので板の開先は板厚の幅だけ取ってあると思います。板厚が見た目では良くわからないのですが、開先が深く取ってあるならば突き合わせ溶接とパイプ部の箇所を除き、3層盛り、4パス程で仕上げてるのでしょうかね。1本のビードで4回溶接してるって事です。
まぁ何にしても、ここまで綺麗にバランス良く仕上げるのには相当の努力とセンスが無いと無理なんですよ。
作品に敬礼。
ちなみに圧力試験も競技課目にあるんでしょうか。
是非とも大会に出場された経験がある方からお言葉が頂きたい所です。
追伸 この製作物は被覆アーク溶接での圧力容器で、なんと150キロの水圧試験があるそうです。板厚は6~9mm 1~3層で仕上げているとの情報をいただきました。150キロてw TIGや自動溶接ならわかるんだけど手作業のアークでかぁ~ ペラペラ書いてますけど言葉が無いほど凄い技ですね。
こんな灰皿あったらかっこいいなぁ なんて思ってた自分を恥ずかしく思います・・