プラズマ切断ってなに?ガスより速い金属切断、その実力と注意点

鉄板をバシッと切る。
昔なら「アセチレンと酸素でガス溶断」、ってのが定番だったけど、最近じゃプラズマ切断の出番が増えてきた。

見た目は派手だし、音もうるさいけど――使ってみると、「あれ、意外とラクだな」ってなるタイプの道具なんだよね。

このページでは、そんなプラズマ切断の仕組みから、作業のコツ、現場でよくある“あるある”まで、余計な回り道なしでまとめていくよ。

プラズマ切断ってどんなもの?

簡単に言うと、電気のアークで金属を溶かして、そこに風(ガス)を吹きつけて切るっていう方法。

ガス溶断みたいに「酸素で焼き切る」のとは違って、高温のプラズマアークで一気に溶かして吹き飛ばす感じ。
鉄だけじゃなくて、ステンレスやアルミにも対応できるから、使い方次第でけっこう幅広く活躍してくれる。

プラズマ切断のいいところ・イマイチなところ

項目内容
切断速度速い(ガスより明らかに速い)
対応素材鉄・ステン・アルミOK(非鉄対応が強み)
切断面まあまあきれい(ガスより良い、レーザーには負ける)
厚板対応出力次第、限界はある
消耗品電極・ノズルが地味にお金かかる
アーク光・火花派手。安全対策はしっかりと

ガスの違いで何が変わるの?

プラズマ切断は、使うガスの種類でも性能が変わってくる。ここでは有名どころをサクッと紹介しておくね。

◆エアプラズマ切断機(空気)

一番よく見るタイプ。
コンプレッサーの空気だけでOK。安い、早い、そこそこ切れる。
家庭用の100V機種にも多い。

◆酸素プラズマ切断機

酸素の燃焼パワーで鉄の厚板をガンガン切るタイプ。
ただしノズルの消耗は早め。業務用寄り。

◆窒素プラズマ

ステンレスやアルミ向け。
**酸化を抑えて切断面がきれい。**でもちょっとお高め。

◆アルゴン・水素プラズマ

これまたステン・アルミ向けの高級路線。
アークが安定して、厚板でもきれいに切れる。産業用でよく使われてる。

◆ウォーターインジェクション方式

水を混ぜて切る。煙が少なくて音もうるさくない。
切断面が超キレイ。ただし、ちょっと特殊で使う現場は限られる。

作業中に気をつけたいこと【現場編】

プラズマ切断って、ただスイッチ入れて線に沿って動かすだけ…じゃない。
ちょっとしたコツや注意点で、切れ味もチップの持ちも全然変わってくるから、ここは絶対おさえとこ。

● トーチは“浮かせて”使うのが基本

チップを母材にペタッと付けたまま切ってる人、けっこう多い。
たしかにブレにくいけど、チップがすぐ傷むし、アークも不安定になる。
できればほんの少し浮かせるのがベスト。スペーサー付きのトーチなら、距離も保ちやすいよ。

● ノズル径(チップ)は出力に合わせる

たとえば80Aの機械で、1.3mmのノズル使ってたらパワー不足で切れ味イマイチ。
本来の性能を出したいなら1.5mm〜1.7mmのチップに変えるだけで全然違う。
それ知らずに「なんか切れないな〜」ってまま使ってる現場、ほんと多い。

● スタート時の吹き返しに注意

プラズマ切断って、切り始めの一瞬が一番チップに負担かかる。
「バシュッ!」って吹き返すから、いきなりノズルがやられることも。
そんなときは、あらかじめ小さな下穴を開けてから切り始めるとチップが長持ちするよ。

● ドロス(裏側のスラグ)問題

ステンレスやアルミを切ると、裏側にドロスがガッツリこびりつくことがある。
見た目も悪いし、あとでバリ取りも面倒。
スプレーでドロス防止しとくと、仕上げ作業がめっちゃラクになる。

よくあるトラブルとその対策

症状原因対策
アークが飛ばない電極がすり減ってる/アース不良消耗品交換・アース確認
切断が途中で止まる速度早すぎ/出力不足ゆっくりめに、チップ見直し
チップがすぐダメになる母材に接触してる/出力ミスマッチチップ浮かせて、ノズル径変更
切断面がガタガタ距離が近すぎる or 離れすぎ一定の距離をキープする意識

作業時の保護具、けっこう大事です

まず絶対に言っときたいのが溶接面(遮光面)使ってねってこと。
サングラスじゃまったく防げない。夜になって後悔するよ。目が開けられなくなるやつ。

それと手袋。軍手は燃えます。下手すりゃ手の皮もいきます。
プラズマ切断やるなら、革手袋は必須。
素材の詳しい話は別記事で紹介するけど、ここではとにかく「軍手はやめとけ。革手にしとけ。」ってだけでも覚えといて。

プラズマ切断が使われてる現場、いろいろある

  • 工場のステンレス加工ライン
  • 厚物の補修・板金(開先加工に)
  • 建築現場での鉄骨加工や配管切断
  • 解体現場やスクラップ場(手早くザクッと切る)

場所を選ばず、金属をバシバシ切れるのがプラズマの強み。

まとめ

プラズマ切断って、見た目はちょっと派手だけど慣れれば超便利。
ガスほど気を遣わなくていいし、材料も選ばないし、作業スピードも速い。

ただし、使い方を間違えると“性能を持て余すだけの機械”にもなる。
ノズルの選び方とか、トーチの持ち方とか、そういう“地味なところ”をちょっと意識するだけで、
仕上がりも作業効率もぜんぜん違ってくるよ。