金属を切断する方法はいろいろあるけど、ガス溶断(ガス切断)はその中でも昔から定番の加工方法。特に現場や解体作業で活躍する技術だよ。
アセチレンと酸素を混ぜて作った高温の火炎で金属を赤熱させ、そこに高圧の酸素を一気に吹きつけて金属を酸化・発熱させながら吹き飛ばす。このシンプルだけど強力な原理が、分厚い鉄板でもゴリゴリ切っていける理由。
今回はそんなガス溶断について、火口の選び方や圧力の設定、現場でのリアルな使い方、そして必要な講習まで、実践目線で紹介していくよ。
アセチレンと酸素、それぞれの役割
ガス溶断に使うのは、基本的に「アセチレン」と「酸素」。この2つにはしっかりと役割分担があるよ。
- アセチレン:予熱用。鋼材を真っ赤になるまで炙る火力の源。燃焼温度が高く、瞬時に熱が入る。
- 酸素:2つの流れがある。
- 予熱酸素:アセチレンと混ざって炎を作る側
- 切断酸素:赤熱した金属に一気に吹きつけて、酸化発熱→鉄を吹き飛ばす主役
火の力だけで鉄が切れるのは、酸素の持つ化学反応のおかげ。火で溶かすんじゃなく、燃やして吹き飛ばしてるって感じなんだ。
火口(ノズル)の選び方と番手ごとの違い
ガス溶断では、火口(ノズル)のサイズが超重要。板厚に合ってないと、切れなかったり逆火したりする。
火口サイズ | 対応板厚(目安) | 使用圧力(アセチレン/酸素) | 備考 |
---|---|---|---|
#0 | 1〜3mm | 0.02MPa / 0.2MPa | 薄板用、細かい作業向き |
#1 | 4〜8mm | 0.03MPa / 0.3MPa | 汎用的な中板向き |
#2 | 9〜20mm | 0.05MPa / 0.5MPa | 重構造物向け |
#3 | 21mm以上 | 0.07〜0.1MPa / 0.6〜0.8MPa | 厚板・解体作業向け |
作業の流れとリアルなコツ
- 点火・調整
- バーナーに火をつけて、炎を安定させる。
- アセチレンと予熱酸素を調整し、先が尖った中性炎を作る。
- 加熱開始
- 切りたい位置に炎を当てて、鋼材が真っ赤になるまでしっかり炙る。
- 切断酸素レバーを一気に開く
- 赤熱状態になったら、切断酸素を全開!酸化反応と同時に鉄が吹き飛んで切れていく。
- トーチを安定して動かす
- 焦らず、ゆっくりと一定スピードで動かすのがコツ。
失敗しやすいポイントと対策
項目 | 内容 |
火がバタつく | 圧力が高すぎる/火口が詰まってる |
切断が進まない | 加熱不足/火口が小さすぎる |
逆火が起きる | 圧力バランスが悪い/掃除不足 |
切断面が荒れる | トーチの動きが不安定/設定ミス |
ガス溶断に必要な資格「ガス溶接技能講習」とは
ガス切断には「ガス溶接技能講習」の修了が必須。
学科(約6時間)
- ガスの性質と燃焼原理
- 関係法令(労働安全衛生法など)
- 器具の構造と取り扱い
- 災害事例と対策
実技(約6時間)
- 火のつけ方・消し方
- 火口の調整と圧力管理
- 加熱・切断操作の練習
修了証は国家資格じゃないけど、法律上必要な“許可証”みたいなもの。一度取得すれば全国どこでも通用するよ。
実際の作業動画でイメージを掴もう
出典:OPEN EV 沖縄県教育委員会 教育支援ビデオ
最後に
- ガス溶断はシンプルだけど、火口選びと圧力調整で大きく結果が変わる
- 「赤くなったら空圧全開!」が現場の合言葉
- 安全に使うには、講習で基本と危険ポイントをしっかり押さえること
火を扱うからこそ、基本を知ってこそ一人前。経験と知識の積み重ねで、確実でキレイな切断ができるようになるよ。ちょっとした破材があればいくらでも練習できるからやってみよう。ご安全に。