橋梁溶接とは?巨大構造物を支える仕事と年収事情

毎日何気なく渡っている橋。その橋がどうやって作られているか、考えたことある?
実は橋梁は、鋼材と鋼材を無数の溶接でつなぎ合わせた巨大な鉄骨作品なんだ。
一発の溶接不良が、数十年先の安全にまで響く。だからこそ、橋梁溶接は「命を預かる仕事」と言っても過言じゃない。

橋梁の種類と構造

橋にもいろんな構造がある。

  • 桁橋(けたばし):もっともシンプル。H形鋼やI形鋼を並べてつなぐ。
  • アーチ橋:美しい曲線構造。大きな曲げ加工材の溶接が特徴。
  • トラス橋:三角の組み合わせで強度を出す。接合点が多く溶接数も膨大。
  • 吊橋・斜張橋:主塔とケーブルがメインだが、大断面材の溶接も欠かせない。

種類ごとに必要な溶接技術は違うけど、共通しているのは「厚板」「長尺」「大断面」。普通の鉄骨よりスケールがデカい。

橋梁で使われる溶接法

橋梁製作では複数の溶接法を使い分ける。

  • 被覆アーク溶接:現場での立向き・上向き姿勢に強い。
  • 半自動溶接(MAG/CO₂):工場での厚板接合に多用。
  • TIG溶接:精度や仕上がりが求められる部分に。
  • サブマージアーク溶接(SAW):工場内での長尺・厚板溶接の主役。

橋梁溶接のキーワードは「大入熱」「高強度鋼」「厳格な溶接管理」。ただつなげばいい仕事じゃなく、材料・温度・溶け込みを全部コントロールしないといけない。

工場溶接と現場溶接の違い

橋梁製作は「工場で部材製作 → 現場で建方溶接」が基本。

  • 工場溶接
     自動溶接機や大型ジグを使って精度の高い溶接を行う。環境が安定していて品質も一定。
  • 現場溶接
     橋の上、川の上、海の上。風・寒さ・高所…条件が過酷。しかも姿勢は立向きや上向きばかり。
     ここで安定したビードを出せるかどうか、溶接工の腕がモロに試される。

品質管理と検査

橋梁は「一度作ったら数十年使う」ものだから検査も徹底的。

  • 超音波探傷(UT)、放射線検査(RT)、浸透探傷(PT)、目視検査(VT)がフル活用。
  • 疲労強度や耐震性能も基準クリア必須。
  • 欠陥があれば補修や再溶接 → 工期もコストも莫大に跳ね上がる。

“ごまかし”は絶対に通用しない世界。

橋梁溶接工の年収相場は?(推定値)

橋梁溶接工の収入は、勤務先(大手橋梁メーカー/町工場)、働き方(常用/出張・請負)、さらに保有資格や経験年数によって大きく変わる。
ここでは統計と実例から読み取れるおおよその相場感を紹介するよ。

年収情報は、厚生労働省の公式統計だけではなく、複数の求人情報サイトや現場データを参考に推測したものです。あくまで目安としてご覧ください。実際の収入は、会社の業績・地域・勤続年数・資格・担当業務などによって大きく変動します。

平均的な相場感(推定値)

項目 数値
平均月収(所定内給与) 約28万円〜33万円
年間賞与(ボーナス) 約50万円〜70万円
推定年収 約380万円〜470万円

出典と前提:
・厚生労働省「賃金構造基本統計調査(直近公表年)」の職種「金属溶接・溶断従事者」を基準に、橋梁製作に関わる工程を含む統計で近似(信頼度:B)
・地域や企業規模、残業・深夜・出張手当の有無で差が出る。数値は全国平均
・求人サイトや業界資料をもとに、職種別の傾向も反映して補足。

大手メーカーと町工場の違い

  • 大手橋梁メーカー勤務
     技能職でも年収550万〜800万円。資格手当や福利厚生も充実。工場ではサブマージアーク、現場では高所作業。安定はあるが出張・転勤は避けられない。
  • 町工場・中小鉄工所勤務
     年収350万〜500万円。少人数で幅広く任される。残業・出張で稼ぎやすく、独立へのステップにもなる。安定度より経験値や自由度を重視したい人向け。

現場での年収レンジ(実勢目安)

  • 経験5年以上(常用工):400万〜600万円
  • 大手橋梁メーカー所属:550万〜800万円
  • 出張溶接(高所・特殊姿勢):600万〜900万円
  • 独立・請負契約:800万〜1200万円以上

年収が伸びやすい条件

  • 厚板・高張力鋼の溶接経験
  • JIS溶接技能者評価試験(SA-3F/3Hなど)やボイラー溶接士資格
  • 全国出張・高所作業への対応力

相原から最後に

橋梁溶接は、日常生活に欠かせない社会インフラを支えるスケールの大きな仕事。
大手メーカーなら安定と高待遇、町工場なら経験の幅と自由度。どちらを選ぶかで働き方も年収も変わる。

共通して言えるのは――橋梁溶接は責任とやりがい、そして稼ぎの両方を得られるフィールドだってこと。

橋梁溶接は、ゴツい! 派手! スゲー上手い! としか言いようがない。
もし機会があれば、実際に橋の溶接を見てほしい。気絶レベルで凄い溶接があるから。

観光気分で全国の橋梁溶接巡り――そんな楽しみ方も、溶接工ならアリだと思う。

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