JIS溶接技能者評価試験とは?現場で使える溶接資格のリアル解説

溶接の現場でよく耳にする「JIS資格持ってる?」というひと言。
これは「JIS溶接技能者評価試験」に合格しているかどうかを意味していて、
実務の世界では腕のある証明としてしっかり評価される資格なんだ。

「JISって国家資格なの?」と思う人もいるかもしれないけど、実は民間の技能評価試験。
それでも多くの工場や建設現場では、「JIS持ってる人しか入れない」と条件がついていることもあるくらい、実質的に“溶接の基準”になっている資格なんだよね。

どんな試験なの?──基本は実技、そして初回だけ学科も

JIS試験の中心は実技

実際に用意された金属を溶接し、ビードの出来栄をチェックされる、実力勝負の試験だ。

ただし初めて資格を取得する場合は、実技の前に「学科試験」も必要になる。
この学科試験、一度合格すれば以後は永久に有効なので、更新を忘れて再受験する場合でも、
学科はパスして実技だけ再挑戦できるのが特徴。

学科の内容はそこまで難しくなく、
会場によっては試験当日の午前に自由参加の講習が行われることもある。
この講習で出た話がそのまま学科に出題されるケースもあるため、真剣に聞いておけば合格の確率はかなり高い。

試験区分の見方は?記号の組み合わせで読み解こう

JIS試験は「どの溶接法で」「どの姿勢で」「どの条件下で」溶接できるかを証明するために、複数の記号で構成された区分が存在する。

代表的な構成ルールは以下の通り

項目 内容
溶接法記号 被覆アーク=無記号/半自動=SA/TIG=T など
裏当て金の有無 A=あり、N=なし
板厚区分 1(薄板)~3(厚板)
姿勢記号 F(下向)、H(横向)、V(立向)、O(上向)、P(パイプ)

たとえば「N-1F」なら、被覆アークで裏当てなし・薄板・下向き、
「SA-A2V」なら、半自動溶接で裏当てあり・中厚板・立向きの試験を指す。

被覆アーク・半自動・TIGそれぞれに約30種類前後の区分があり、
全体で見ると膨大な数になるけれど、現場で求められる区分だけをピンポイントで取っていくのが一般的。

どの試験を受ければいいの?

最初に受けるなら、自分が現場で実際にやることに近い溶接法+やさしい姿勢(例:1Fなど)が現実的。
工場勤務なら半自動や被覆アークの下向き、製缶業なら立向き、配管ならパイプ…と、
業種ごとに“よく使う姿勢”が決まっていることも多い。

迷ったら、先輩に「これから現場でどういう仕事する予定か」を伝えて、どの溶接資格が必要か聞くのが一番早い。

ちなみに、JWES(日本溶接協会)の公式サイトでは各地域の試験区分や詳細が見られるけど、
情報量がとにかく多いので親切ではあるけれど、初めて受ける人にとっては“選びづらい”のが正直なところ。
そういうときこそ、講習やこの記事のような“現場目線の道案内”を頼ってもらえたらと思う。

試験の流れと時間・費用

講習(任意)+学科(初回のみ)+実技が基本の流れ

実技の所要時間は1区分につき30分~60分前後(パイプや厚板だと1時間近くかかる場合もある)

検査方法は外観検査+曲げ試験(区分による)

費用は1万~2万円前後(訓練校経由なら補助の可能性あり)

全体としては半日〜1日がかりと思っておくと安心(順番待ち次第)

取った資格は現場でどう活きる?
溶接の資格にはいろんな種類があるけど、現場で一番見られるのは「JIS試験合格の有無」だったりする。特に複数の専門級(例:TN-PとSA-2V、パイプと板)を持っていると信頼度がグッと上がるし、
転職や独立のときにも「資格一覧」として武器になる。

相原の小さな余談

試験って、現場の仕事とはちょっと違う動きが求められる。
普段ローリングしてる人が、試験じゃストリンガーを強制されて戸惑ったりね。地域によってはホントあるからさ、事前確認しておきたい。でないと無表情で立ち尽くす事になるよ。

でも、そこで一度“自分のくせ”と向き合う経験が、あとから地味に効いてくるんだよなあ。
試験は試験用のやり方を用意。でも、ちゃんと取っとくと、やっぱり強い。

「JIS資格持ってる?」「コロナの時に行った?冬に外待機でさ」「半自動?縦?」──
こういう会話が現場の定番。雑談の中でも資格所持の探り合いの攻防があったりするんだ。

腕で生きてくんだからさ、マウント取ろうぜ。