溶接の用語集 溶接の欠陥 1
アンダーカット
アンダーカットとは、溶接ビードの両端あるいは方端が溝のように凹んだ部分の事です。
よくある原因として、TIG溶接では、電流過大、もしくは加棒不足。半自動溶接では電圧過大、電流過小。被覆アーク溶接では電流過大などです。その他にも、溶接条件に対してのトーチ角度が悪かったり不安定な運棒によっても起きます。
オーバーラップ
オーバーラップとは、溶接ビードの両端あるいは方端が母材に溶け込まずに覆い被さっている部分の事です。
過度の余盛り、多層盛り、立て向き方向の溶接などで起こりやすい欠陥の一つです。
よくある原因として、電流、電圧はアンダーカットの逆になります。
クレータ割れ
クレータ割れとは、溶接ビードのクレーターから発生する高温割れの事です。
クレーター処理を正しく行い、クレーター電流の調整、アフターフローの時間を変えたりする事で解消される場合があります。
スラグ巻込み
スラグ巻込みとは、溶接中の溶接部内にある溶融スラグや不純物が浮上せずに溶着金属内にスラグが残ってしまう事です。
単層盛りではトーチ角度が適正でない場合に起こりやすく、多層盛りでは下盛りのスラグ除去を確実に行わなければいけません。
肉眼では見えない溶接欠陥の一つです。
タングステンの巻込み
タングステンの巻込みとは、TIG溶接の電極であるタングステンが溶け落ちて、溶接ビード内部に混ざってしまう事です。
スラグ巻き込みと同様に肉眼では見えないので、放射線検査などの溶接内部の検査で指摘されてしまう欠陥です。
ビード下割れ
ビード下割れとは、溶接ビードの下側に発生する割れで、低温割れの一種です。
クレータ割れは高温割れになります。
ピット
ピットとは、溶接ビードの表面に小さく窪んだ穴が発生する溶接欠陥の事です。
このような窪みや空洞の欠陥を総じてポロシティとも呼ばれます。
ブローホール
ブローホールとは、溶着金属の中に丸い空洞が表面に浮上せずに残ってしまう事です。
割れと同様に、検査の厳しい溶接ではガウジングなどで欠陥を処理しなければなりません。
ラメラテア
ラメラテアとは、溶接部が剥離したように割れる溶接欠陥の事です。
溶接によって激しく歪んだ部分に起こりやすい欠陥です。
例えば、両面突合せ溶接で片面を溶接後にビードをグラインダーで完全に仕上げてから裏面を溶接を行うとラメラテアが起こります。