普通ボイラー溶接士 実技の合格方法

 前記事に書いた通り、初回の実技試験に落ちてしまいました。学科試験に合格してから1年以内に実技試験に合格しなければ学科試験をもう一度受けなければなりません。実技試験は年に2回行われるので学科試験に合格すると実技のチャンスは2回ある事になります。

 では自分は2回目の実技試験で合格したかと言えば、これも不合格でした。学科試験の有効期限が切れ、再び勉強して学科試験を受けました。そして望んだ実技3回目。これも不合格・・。 そして実技4回目。なんとか合格する事が出来ました。

 4回目の試験で合格だなんてまったく自慢できないのですが、そのおかげでボイラー溶接士の実技試験合格法が見えてきたのです。それは実際の作業現場では通用しない方法だと思います。アーク溶接に不慣れな人が無理やりにでも試験にだけ合格する方法なのでしょうが紹介させていただきます。

 ■ 下向き突合せ溶接(裏金あり) ■

仮付け後、「へ」の字型にテストピースを逆歪み6ミリ 溶接棒B-17 棒径4ミリ

一層目 電流180A 
二層目 電流170A 
三層目 電流160A 
四層目 電流150A 

ここまでウィービング無し。溶接棒を45度ほどの角度で無理に進めず、無理に押し込まず、自然に溶けていくだけのスピードで進みます。1パスでの肉盛りが少ないので四層で開先表面より1ミリ程度低い位置まで溶接します。

五層目 電流140A

溶接棒の角度はそのまま45度くらいです。もう少しだけ起してもいいかもしれません。仕上がりのビード外観は汚いのを承知で溶接します。スラグが手前に流れず溶融池が分かりやすいので確実に開先幅より1ミリ程度幅広くウィービングしていきます。 

五層目の溶接完了後、アンダーカットの深さを良く見て下さい。テストピースは全長150ミリですが試験片で使用するのは33ミリ進んだ場所から38ミリ進んだ所までと、そこから8ミリ進んだ場所から38ミリ進んだ所までの2箇所。そこ以外のアンダーカットは無視していいです。試験片で使用する場所だけ注意するのです。問題なければ下向き溶接は完了ですが、もし明らかにアンダーカットの場合は六層目を行います。

六層目 電流140A

ここでの溶接棒は3.2ミリを使います。五層目の溶接幅より少し幅広くウィービングしながら途中で途切れる事の無く、1本の溶接棒で最後まで溶接できるスピードで進みます。試験片の場所だけは慎重に進みますが他の部分はどうでもいいです。

これで下向き溶接は完了です。

■ 立て向き突き合せ溶接(裏金あり) ■

仮付け後、「へ」の字型に逆歪み3ミリ 溶接棒 B-17 棒径4ミリ

一層目 電流140A 

溶接棒を平行より持ち手側を10センチほど下げた角度でスタートします。
ウィービングはしないで一気に上まで上ります。ビード形状はかなり尖った山形になりますが問題ありません。

二層目 電流135A
溶接棒の角度は一層目と同じ。溶接部が溶け落ちないように、左→右→左斜め上→右とウィービングしていきます。3秒間で2往復するくらいの速度でいいと思います。特に気をつけるのは一層目の尖ったビードの深い部分を溶かし潰さないといけない事です。つまり安定したスピードで進むのではなく 

左(ここで止める)→右(ここで止める)→左斜め上(ここで止める)→右(ここで止める) 

こんな動きになります。この電流で溶け落ちを気にしながらこの運棒法でまず大丈夫だと思います。あとは、75ミリ登った所にマークをして、そこまで溶接したら必ず溶接棒を新しいものに取り替える事。必ずテストピースのど真ん中で溶接を繋いで下さい。

三層目 電流125A
二層目とほぼ同じ事をします。違いはウィービングの幅が広くなる事くらいです。ここで開先の表面ギリギリまで肉盛りするくらいの気持ちで登りましょう。

四層目 電流110A
これが仕上げの層になります。やはり気をつけるのはアンダーカットです。とにかく左に振ったら止め、右に振ったら止めを繰り返してください。止める事で肉盛りを増やし、アンダーカットを防ぐのです。ただし止める時間が長すぎると逆にアンダーカットになりやすいので注意が必要です。そして下向き溶接と同様に、試験片で使う場所にアンダーカットがあればもう一層盛って下さい。この場合は棒径3.2ミリです。電流は100Aまで落としたほうがいいでしょう。

これで立て向き溶接完了です。

何度も試験に行ったおかげで試験官からヒント的な情報をいくつかもらいました。それらをまとめると、

アンダーカットがあったら不合格ではなく許容範囲がある。1枚の試験片でアンダーカットの長さが合計8ミリまではOKとか。ただしその数値はあいまいで「う~ん、これくらいなら合格にしてやるか」みたいなラフな基準らしい。
外観検査で失格になることはまず無いと聞きました。どんなに醜い溶接でも表面を削って曲げ試験を行うそうです。なのでアンダーカットを気にするよりは外観が汚くなってでももう一層盛ったほうが合格しやすいのです。
試験場に用意されている溶接棒は保存状態がよく乾燥の具合もバッチリなので使ったほうが良い。乾燥具合が悪いとどんなに上手く溶接しても欠陥が出やすい。無料で溶接棒が貰えるので特殊な溶接棒を使わない限り甘えましょう。

以上が自分の知っている限りの情報です。試験に合格したのは10年近く前ですが現在も内容は変わっていないはずなので参考にして下さい。不合格になっても怒らない程度にw


   

気になるアイテム

幅広い用途で使えそうなんでXLサイズ買いました。海外からのメールで「なんで日本人はティグフィンガーを使わないの?」なんて言われてたんだけど、これ使ってみるとたしかに便利だよ。 指や手の平に付ければ溶接中の母材に触れてても熱くない!
詳細はこちら

ピックアップ記事

  1. 自分の性格は溶接工に向いているのか? 溶接の仕事は作業上の打ち合わせ以外、一切喋らず黙々と目の…
  2. 今も昔もこれからも、この社会に無くてはならない技術「溶接」 なんだか難しい技を覚えなきゃいけないみ…
  3. 溶接の道のメールフォームから連日多くのご質問やご相談を頂いていますが、特に多いのが転職のご相談です。…

溶接の道にようこそ

当サイトでは溶接関連の記事を画像や動画などを交えて紹介したり、管理人の体験を基にした記事を公開しています。
私は溶接の仕事を始めて20年が経過しましたが、まだまだ勉強中の身です。それに加え無礼な表現もあるかと思いますが、溶接職人さんから日曜溶接のお父さんまで幅広い方々に閲覧していただけたら幸いです。


yousetuzanmai

管理人のプロフィール
プライバシーポリシー
サイトマップ

おすすめ記事

メールフォーム

仕事の愚痴からこのブログのダメ出しまで何でも言いたい事メールしてください!

質問やお問い合わせはこちらから
ページ上部へ戻る